この記事は、自身が経験した死産からどのようにして立ち上がってきたのか。お腹の中の娘が教えてくれたことを考えながら綴っています。経験したありのままを書くことで、誰かを不安にさせたり、傷つけてしまったらどうしようと悩みました。でも、私が同じ経験をした人から救いを得たように、今苦しんでいる誰かを助けることができれば、私と同じことになって欲しくないとの思いから、赤裸々に体験談を記事にしています。不安な方は、ここでストップしてください。
前回の記事「妊娠中の私を襲い始めた「魔の手の正体」からの続きです。
私は、妊娠20週から妊娠高血圧腎症が始まりました。
エコー技師の先生から血圧について主治医に相談した方が良いとアドバイスされてから、次の診察を待つまでの間、
次第に体調が悪くなり、少し頭痛も感じるようになっていました。
それでも、鋭い痛みではなく、目の異常もなかったので、緊急で先生に電話をかけることはありませんでした。
その頃、保険会社の計らいで無料で胎児超音波心音計が自宅に送られてきていたので、
毎晩、ベビたん元気ですか~?今日はどこにいるかな~?とマシーンを動かし
探す間もなく元気よく飛び込んでくるウッシュウッシュウッシュウッシュという速くて力強い心臓の音を聞くのを楽しみにしていました。
2021年12月17日の検診日 妊娠22週
ようやく次の診察日がやってくると
この日、血圧が170以上と高く
Y先生から、朝晩3錠ずつに降圧薬を増やすよう言われました。
身体がズシーンとした重い疲労感も相変わらずで
脚のむくみも激しくなる一方だったので、先生に伝えましたが
仕事のために靴下を履き、ロングパンツを履いている私に対し
脱いで浮腫を見せてと尋ねることは、最初から最後まで一度もありませんでした。
せめての思いで、着圧ソックスはどんなものが良いか尋ねると
「役に立つなら好きなものを試してみて」と言われるだけでした。
そっか浮腫は大した問題ではないのかと思いながら
先日のエコー検査で赤ちゃんが小さいと言われたことが気になっていたので相談すると
病院から送られてきていたエコーの検査結果を見ながら
「大丈夫!あなたにとっては大きいより小さい方がいい!」と言われ、なんだよかったと、ホッと胸を撫で下ろしました。
その日は心配事を先生に話そうと決めていたので、
高血圧でお腹の赤ちゃんが心配と伝え、インターネットで調べた内容について話をしました。
先生は、「ネットで調べるのはやめた方がいい。嘘の情報が多いから」
やっぱりそうだよね。と思い
それ以上聞くこともせず、
先生の言うことだけを頼りにすることに決めました。
2021年12月23日の検診日 妊娠23週
診察のために先生に会いに行く途中、車の中で突然の嘔吐。
つわりも終わっているのに
朝に食べたものが悪かったのかな?
今日は体調も良くなく、アサイのフルーツスムージーしか飲んでないのに。
到着後、全身の倦怠感に襲われていた私は診察室まで歩くのもしんどく
いつも手軽に感じる自分の鞄ですら
重みを感じて持つことができず
付き添ってくれたマルコに託していました。
診察室で吐いたことを伝えると
逆流性食道炎と診断され、どこの薬局でも良いから先生に言われた胃酸過多の薬を買うようにと。
薬を飲む前の血圧が180以上となっていたその日
今まで感じたことのないくらい
とてつもない疲労感と嘔吐によって、
私は果たして大丈夫なのかと心配になっていました。
先生に、泣きそうになりながら、私とんでもなく疲れていると伝えると
「どうして?」という思いがけない反応が返ってきました。
私が聞きたいのに、、うぅっと、涙をこらえながらショックで言葉も出ず、
さらには「ウォーキングはしてる?」という追い討ちをかけてくる言葉に
私はこんなに辛いのにどうやって歩く?!!?と心の中で絶叫しながら
先生にも理解してもらえない
絶望と孤独を感じ始めていました。
お願い誰か助けてよ!!
誰もこの辛さを分かってくれないんだ。
今まで人生で味わったことのないほど、体が重たくてしんどくてたまらないのに
でももしかしたら他の妊婦さんも、みんなこんなに辛いのに頑張っているのかもしれない
私だけが怠けているのかもしれない
私の頑張りが足りないだけなんだ
次第に自分にもっと鞭を打たなければならないのだと感じてきました。
先生からは、血圧が高かったこともあり、新たな降圧薬を処方され、毎朝一錠飲むように告げられました。
その日の診察後、なんとか仕事に戻れましたが、仕事が終わるともう体は動かなくなりました。
太ももから爪先まで足全体が見たこともないような想像を絶する浮腫に変わり
恐ろしさのあまりシャワーをしながら涙が込み上げてきました。
子供のいるお友達たち数名にLINEで足の浮腫が大変というと
「分かる~私もそうだった~!象の足のようだったよ」と話していたので
そっか やっぱりこの浮腫みも普通なのか
やっぱり私が弱音を吐いているだけだ
でも私の足は、夜通し脚を高くしていても、浮腫みが消えることはありませんでした。
2021年12月24日のクリスマス・イヴ
朝、いつもの3錠に加えて、昨日処方された新しい1錠を服用しました。
次第にズドーンとしたものすごい疲労感と全身の倦怠感に襲われ始め、座っていることも辛く、体を動かすこともできなくなりました。
急遽仕事を休み 一日中ベッドの上に横たわり
夕方も尚続く強い頭痛にもだえていました。
その日は何も口にしていないのに
突然気持ち悪くなりまた嘔吐
口から出てくるものはもうないのに
ひたすら何かを出そうとする体。
本当にこれは逆流性食道炎なのか?何か違う理由なのではないか?
すると、お股からパンツを貫通して
透明の液体が数滴ポタポタとたれ
パンツには微かな血もついていました。
先生に電話した方がいいかも でも今日はクリスマスイブ 今頃食事を楽しんでいるかもしれない
私は悩みに悩みましたが 先生に電話をすることにしました。
時間外の緊急電話のため交換室に繋がり、先生から折り返しの電話があると伝えられましたが
電話がかかってくることはなく
やっぱりクリスマスイヴだからだよねと思っていると、
しばらくして、交換室から確認の連絡がありました。
まだ連絡がないことを伝えると、再び先生に連絡をしてくれたようで、
ようやく先生からの電話がなり、それだけで救われた気がしました。
先生は、「次の検診まで薬を飲むのをやめるように」と言いました。
そして「翌日も頭痛がするようならまた連絡して」「血も少量なら問題ない」
緊急ではないと分かり
大袈裟なのかもしれない自分が少し恥ずかしくなりました。
この痛みは薬のせいなのか?
頭が痛くて眠ることすらできない。
いつ収まるのか分からない痛みに耐えながら
血圧の薬を飲むのをやめたら私の血圧は一体どうなってしまうんだろうう考えていました。
2021年12月25日のクリスマス
朝起きると頭痛は治まっていました。
先生に電話をかける必要がなくなり、クリスマスを邪魔せずよかったと安心していましたが
身体が鉛のように重い倦怠感や疲労感はそのまま続いていました。
薬もやめるように言われていたため、
血圧は上が190下が120とグングンと上がっていきました。
お家の中は朝からオーブンに入れていたハムが焼き上がり食欲をそそる香りが漂っています。
今日は11月からプランしていたお友達のお家での少人数クリスマスパーティー。
今日のために、私たちは、ハムの丸焼きを担当することが決まっていて、
みんなもハムを楽しみにしていました。
朝からマルコはハム作りに一生懸命。
自分の体のことを唯一把握している私は、絶対にパーティーに行くことはできないと分かっていましたが
マルコだけは、ハムを楽しみにしているお友達たちに持って行って欲しいと思い
1人でも行ってきてとお願いしました。
マルコは、「顔だけちょっと出したら?」と誘ってきましたが
もう立つことすらできないのに
やっぱりこの辛さは他の人には分からないのかとグッと涙を堪えました。
私をうちに残していくことを心苦しく思っていたマルコでしたが
温かいハムをオーブンから取り出し、一番先に私に食べさせてくれ
残りをもって出かけていきました。
私はマルコがセットしてくれたNetflix のクリスマスムービーをみながらソファに横になり一人クリスマスを楽しむことにしました。
映画『クリスマス・クロニクル』
時々、ベビたんに話しかけながら、コメディサンタのムービーでクスクスと笑い
今は体が辛くても1人でいても
来年のクリスマスは、家族3人でどんなクリスマスを過ごしているのかな
と幸せな気持ちでいっぱいでした。
数時間後、ドアが開き大好きなマルコがお土産をもって帰ってきました。
みんなが私のためにたくさんの食べ物を詰めて持たせてくれていました。
どれも美味しくて、吐くのが怖くてほとんど食べれなくなっていたのに
この日は妊娠中で一番食べられた日だったかもしれません。
真夜中の食事と一緒にクリスマスパーティーの楽しい話を聞きながら、静かで温かなクリスマスの夜が更けていきました。
次回は、クリスマスを境に更に過酷な道へと向かっていく日々について綴っていきます。

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